人形劇との違い
人形劇をやっていた人が腹話術を始めると「どうも勝手が違う」とこぼすのを聞きます。
はっきり動かさないと人形が喋っているのか遠くから分かりにくいという意識が働いて腹話術の場合でもパペットの動きが大きくなりがちです。
人形劇はディフォルメされた世界ですが、腹話術はリアルさを求める世界なので、
動きが大きすぎると芝居がかって不自然に見えます。
人がふつうに喋るときは、身体全体が揺れることはありません。
激しい感情が伴って興奮状態になるときは、左右に揺れることはありますがタテに上下に揺れるような動きは考えられません。
人形劇では人形が上下運動しますが、腹話術でパペットが上下に動く時はクシャミかしゃっくりをする時くらいです。
腹話術でヒューマンのパペットに動きをつける場合、人間の動きをヒントにします。
関節の動きなど人間にありえないような動きをするとリアルではありません。
また、身体を固定してしまって首だけ動かすとロボットの様に見えて不自然です。
ファンタジーの世界にすんなり入っていける幼児には 腹話術+人形劇 でも構わないと思いますが 大人を対象にするならマジックのように 錯角を創る仕掛けが必要です。
もともと腹話術は「奇術」のジャンルに入るものでした。
観客の目をごまかして不思議な現象を見せるのが奇術で、観客の目と耳をごまかして不思議な現象を見せたのが腹話術です。
腹話術の「術」はリアルさによる錯角を創ることで、私はそれを継承していきたいと思っています。
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